公開シンポジウム「ハンナ?アーレントとユダヤ/パレスチナ」
INFORMATION
2023年10月7月以降に再発したイスラエルとパレスチナをめぐる武力衝突は思想研究にとっても無縁ではない。とりわけ、ユダヤ系の出自をもち、自身が第二次世界大戦を生き抜き、「全体主義」を生涯の課題の一つとした思想家のハンナ?アーレントにとってはそうであった。第二次世界大戦中に難民化したユダヤ人の群れの只中にいたアーレントは、イスラエルへのユダヤ人の入植によって難民化したアラブ人たちの存在を無視することなく、戦後イスラエルの建国の際にはユダヤ人とパレスチナ人の両者による「バイナショナリズム」を提唱する。その後、アイヒマン裁判をめぐってユダヤ人思想家たちとは距離を置くことになるにせよ、その思想には今日のユダヤ/パレスチナを考えるための糸口が多々見出される。現代思想におけるユダヤ/パレスチナの問題についてこれまで研究をリードしてきた早尾貴紀氏、アーレントにおける「バイナショナリズム」の思想の現代的な意義に注目する博士論文を執筆した気鋭の若手である二井彬緒氏、さらに20世紀のユダヤ哲学者研究をおこなってきた渡名喜庸哲の3名で、ハンナ?アーレントの思想から今日のユダヤ/パレスチナ問題をどのように捉えうるかを検討する。
講師
東京経済大学全学共通教育センター教授
早尾 貴紀 氏
専門は社会思想史。主著に『パレスチナ/イスラエル論』(有志舎)、『ユダヤとイスラエルのあいだ』(青土社)、『希望のディアスポラ:移民?難民をめぐる政治史』(春秋社)、訳書に、サラ?ロイ『なぜガザなのか:パレスチナの分断、孤立化、反開発』(青土社)、サラ?ロイ『ホロコーストからガザへ——パレスチナの政治経済学』(青土社)、イラン?パペ『パレスチナの民族浄化——イスラエル建国の暴力』(法政大学出版局)ほか。
東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム助教
二井 彬緒 氏
主な論文に「ハンナ?アーレントと共生の〈場所〉論——ユダヤ?パレスチナのバイナショナリズムを再考する」(博士論文)、「「倫理的なもの」への地図——ジュディス?バトラーのパレスチナ/イスラエル論」(『現代思想』、2024年1月)ほか。
本学文学部文学科文芸?思想専修教授
渡名喜 庸哲
専門は哲学?社会思想史。主著に『レヴィナスの企て『全体性と無限』と「人間」の多層性』(勁草書房)、『現代フランス哲学』(ちくま新書)、編著に『アーレント読本』(法政大学出版局)、訳書にクロード?ルフォール『民主主義の発明』(勁草書房)ほか。
詳細情報
名称
内容
15:00~15:10 趣旨説明
15:10~15:55 提題1:早尾貴紀氏
15:55~16:40 提題2:二井彬緒氏
16:40~16:50 休憩
16:50~17:35 提題3:渡名喜庸哲
17:35~18:30 全体討論